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2015年04月20日

風野真知雄「四谷怪獣殺人事件」

「耳袋秘帳」殺人事件シリーズの最新作。
根岸肥前守という実在の人物をモデルにした物語です。

根岸肥前守は江戸時代に南町奉行を務めた実在の方なんですが、不思議な話を集めた「耳袋」という文書も残しています。
この物語は、その根岸肥前守が、「耳袋」で公表できなかった秘密の話を別の「耳袋秘帳」というものにまとめていたという想定の下、話が進んでいきます。
実在の人物をモデルにフィクションを創り上げるのって、本当に難しいと思うんですけど。
無理のない楽しい作品に仕上げられています。
「摩訶不思議な出来事には裏がある」っていうスタンスで、怪談まがいの噂話にもきっちり説明がつけられていく。
その過程が、本当に気持ちいいんですよね。
1冊、1冊でお話がきちんと完結していくので、途中からお読みになっても十分お楽しみいただけると思います。

   
今回の舞台は田安徳川家の下屋敷。
ここに、色々と不可解な出来事が起こり、困った松平定信の命を受け、真相を探るという内容なんですけど。
今回は、「しめさん」という、女だてらに十手持ちを夢見る中婆さんが大活躍します。
鋭い洞察力と、女性ならではの直感で事件は解決。
私とほぼ同じ年齢で「中婆さん」と言われていることが若干哀しいですが(当時の寿命を考えれば仕方ないですか)、本当にいい味出してます。
いつもは、坂巻と宮尾という肥前守の家来が中心になって色々と探っていくんですけど、彼らは「暁星右衛門」という上方の怪盗一味の探索に駆り出されていたようで。
今回の謎解きに貢献したしめさん、この「暁星右衛門」についても既に勘を働かせておりまして、次回作以降もさらなる活躍が期待できそうです。

この「耳袋秘帳」には、妖談シリーズと、殺人事件シリーズがあります。
残念ながら妖怪談シリーズは既に完結しちゃってますが、殺人事件シリーズはまだまだ続きそう。
最新作が出たところですけど、次が既に楽しみです。

ちなみに、殺人事件シリーズの第1弾はこちらです。よろしかったら。



posted by みづき at 12:51| Comment(0) | 読む | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年04月06日

畠中恵「えどさがし」

ご存知「しゃばけ」シリーズの外伝です。


このシリーズは全部読んでるんですけど、最近は登場人物が増えすぎて、混乱しながら読み進めている感があったんですが。
これは「外伝」でして、時代も違うところに生き続けている妖怪たちのお話も出てきたりするので、更に混乱を極めます。

第1話では、佐助が若だんなの守り役となった経緯がわかります。
五百年前の判じ絵を解いていきながら話が進むんですけど、若干ミステリーっぽくって楽しいです。
第2話は江戸時代の利根川の改修工事を「坂東太郎」の目線で見ている愉快なお話。
河童と川が会話をするシーンが多々出てきたりして。
あり得ないことなんだけど、実際ありそうな気がしちゃうから不思議(笑)。
川を人の姿として描いちゃうあたり、発想が豊かっていうのか、本当に面白いですよね。
第3話は広徳寺での出来事、第4話は親分さん家の出来事。
そして第5話では、もう一人の守り役・仁吉が明治時代に若だんなを探すお話で。
屏風のぞきは出てくるわ、鳴家はきゅいきゅい言ってるわ、これまでの作品を読まれた方なら、かなり楽しめるのではないかなと。

シリーズ本体の方も、続々出版されてますから、この先も頑張って付いて行こうと思ってます。


posted by みづき at 13:00| Comment(0) | 読む | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年04月04日

大山淳子「猫弁と少女探偵」



猫弁シリーズの第4弾です。
第1弾と第2弾は既にドラマ化されてますので、ご存知の方も多いはず。
第1弾を読んだ後でドラマを見たんですけど、イメージ通りのキャスティングで、ドラマの方もスッと入ってきました。
第2弾以降も、頭の中でドラマのキャストに置き換えて読んでしまってたりして。
「万事休すの時には上を見なさい」って、これ、ほんとに名文句。
まさかほんとに脳が後ろに寄って隙間ができるわけじゃないんだけど、空とか雲とか見ると、悩みなんてどうでもいいやって思えることもありますもんね。

さて、この小説にお話しを戻しますけど。
今回は、かなり大人びた小学生が準主人公。
この子が子猫を拾ったところから事件が始まるわけですが。
ニセの弟やら婚約者に近づく男の影やら、いろいろ絡んできて結構大変(笑)。
これまでの作品を読んでいない方には、「この人誰?」っていう部分も多いかもって気がしました。

とにかく、ラストがいいです。ラストが。
ようやく太郎が行動を起こす。
亜子の親の気持ちもわかる。
あー、思い出すだけで、胸がドキドキ、涙腺ウルウル。
色んな人の人生が変わっていくんだろうなあ、という不安と期待を抱かせながら、この作品は終わるわけですが。

続編も出るのかな。今から楽しみです。
posted by みづき at 13:00| Comment(0) | 読む | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年04月01日

吉永南央「萩を揺らす雨」



おばあさんが主人公のミステリーということで、思わず手にとってしまいました。
自分が経営するお店を訪ねてくる人達の会話から事件を解決する、みたいな解説文がついていたので、アームチェア・ディテクティブかと思いきや。

まあ、実によく動き回るんですよね、このおばあさん(笑)。
そのせいで、徘徊と間違えられたりして、「おばあさん」という特徴をよく生かしたお話になっています。
複雑な過去とかお友達の病気とか、人生を長く生きてきたからこそ味わう悲哀が全編に流れているんだけど、決して悲壮感はなく。
いずれは誰にでも訪れる「老い」というものが、優しく、そしてたくましく描かれていて、勇気をもらうような気がします。

連作短編集なんですが、中でも私が好きだったのは、「0と1の間」。
援助交際をしているかもしれないパソコンの先生を取り巻く事件なんですけど。
そこに、事情があって医院をたたみ、娘の世話になっている老医師の話が、効果的に絡んできて。
全く関係のなさそうな二つの物語が、うるさくなく触れ合いながら、きれいにまとまっていきます。
ハッピーエンドなんだけど、色々と考えさせられる、奥の深い物語でした。

続編も出ていますので、そちらもおいおいご紹介できればなと。
posted by みづき at 13:00| Comment(0) | 読む | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年03月31日

ソフトバンク×オリックス(3/31)&田中啓文「ハナシがちがう! 笑酔亭梅寿謎解噺」

もう、ほんとにねえ。
あれだけ打たれて、こっちは打てないじゃあ、勝てるわけがないですね。
などと偉そうなことを書いてますが、ハートの弱い私は、7点とられたところでチャンネルを変えてしまいました。
あー、明日こそ初勝利をお願いしますよ。

とまあ、こんなふうに気持ちがクサクサした日には、超おすすめの小説があるんです。
それが、田中啓文の「ハナシがちがう! 笑酔亭梅寿謎解噺」という作品。


ギャグ漫画が文章になったらこんな感じなんだろうなあって文章が続きまして、純粋に笑えます。
札付きのワル・竜二が、破天荒にも程がある落語家・笑酔亭梅寿のもとに入門させられたところから、この喜劇(笑)が始まるわけなんですが。
連作短編集でして、それぞれのお話が落語の演目になぞらえられています。
えー、落語なんて知らないし…とおっしゃる方でも大丈夫。
物語が始まる前に、上方落語家・月亭八天(現・月亭文都)さんが、どんな演目なのか解説を入れてくださってます。

私が中でも一番好きなお話は「子は鎹(かすがい)」。
梅寿の孫が誘拐された! って内容なんですが、聞き違いに次ぐ聞き違いでもうめちゃめちゃなことに。
笑いっぱなしのお話なんですが、ラストにホロッと。
いい小説を読んでるなあって気になりました。

このシリーズ、全5巻で完結なんですけど、キャラがそれぞれによくって、ホントにこんな世界があるんじゃないかって気にさせられます。
スピンオフ的に、それぞれのキャラが主人公の作品が出てくれるといいなあと、切に願ってます。
posted by みづき at 21:44| Comment(0) | 読む | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする